木(ツリー)のこと。

December 23, 2017

随分と、久しぶりの更新となってしまいました…。

 

さて、異様なほど盛り上がっている、今回のクリスマスツリーの件。

いち造園・ランドスケープの仕事に携わる者として、自分なりに整理しました。

 

僕自身が、今回の盛り上がっている議論に積極的に関わろうとしない(或いは関われない)おおきな理由としては、それぞれ議論の視点がバラバラすぎて、何をどう言ったらいいのかが分からないからなんですね。

 

でも同じ緑に携わってる者として、自分の考えを整理する必要があるように思いました。

たぶん、A)とB)の2つの立場の切り口があるのだと思います。

 

A)もし自分が造園やランドスケープのことなど知らない、素人だったら…

おそらく、この企画自体は良かったんだと思います。

大きなクリスマスツリーがどんぶらこと船に乗ってやってきて、キラキラしたイリュミネーションで着飾れられて、圧倒的な存在感とファンタジーで人々を魅了する。

自分が子供でなくても、たぶんワクワクするんじゃないかと思うし、彼女がいたら真っ先に連れていったかも。クリスマスも近いですしね。

落ちこぼれと彼が称した木が世界一の木になって、それがどう「鎮魂・復興」につながるのかは全くもって謎ですけど、概ね夢のありそうな世界だと思いますよ。正直言って。

 

B)もし自分が造園やランドスケープを知っていたら…

全てがオーケー、という訳にはやっぱり行かないでしょう。

その理由は大きく2つあるんだと思います。

 

その1:持ってきた木をどうするのか

普通、根っこごと運んできたら移植・定植することが定番だし、伐採してきたものを運んできたら活用することを考えます。

ところが今回の場合、根ごと持ってきたのにもかかわらず、移植・定植することを考えておらず、活用することを考えていると言うではありませんか。

たぶん、ここに大きな矛盾が生まれているんだと思います。

では何故根っこごと?は、おそらく多くの(まともな)造園関係者が思うところだと思います。

仮に伐採してディスプレイしても、ほんの数週間程度なら葉のグリーンはそのまま保たれますしね。

 

その2:ランドスケープ(風景)的にどうなのか

普通、海岸沿いにアスナロの木が単独で立っている風景は、日本中どこ探してもないと思うくらい、非現実的なものです。
アスナロは山林の植生であり、また多くの木々たちと共に共存している環境に自生します。

また、今回アスナロの木が立てられた周りには、このアスナロの木を補完・担保してくれるような緑やら借景がないのです。あまりにも大きすぎるので、気がつけば背後は海、見上げれば空という大きな景観要素しか目に入ってきません。

完全に孤立して見えるし、風景的にも周りとの調和がとれていないことが、やはり違和感としてあります。

 

 

ということで、僕自身がA)の人だったら、B)の人だったら、で分けてみたのですが、どうも世間の議論は A)のところの、しかも感情論ばかりなので、こればっかりは好き嫌いの世界なんでどうしようもないと思います。

ましてや「かわいそう」「環境破壊だ」という意見は、無知すぎて議論の余地すらありません。

いずれにせよ、彼があれほどのビッグネームでなかったら、ひょっとしてここまでの論争には発展しなかったかもですが、正直自分の中ではどうでも良いことだと感じました。

 

残念ながら、僕の頭の中は9割以上 B)なので、この件に関してはあまり今回の企画自体に賛同することはないのですが、まだ実は挽回の余地も残されているんだとも思います。

まさに終了後、その木をどう活用するか。

そのまま移植するには受け入れ先が市内ではないだろうし、かと言って伐採・製材しても莫大な費用がかかるので、ここで改めて皆で頭をひねって考えれたら良いんじゃないかと思いますけどね。

僕だったら、何かに形を変えて、氷見に御返しするとか良いと思うんですよね。

地域間交流にも繋がるし。(今のままでは、氷見→神戸、の一方通行ですしね)

 

余談ですが、すぐ近くの現場で携わっている案件で、樹齢80年前後の楠の御神木と鎮守の杜が、開発によって皆伐されることになり、その活用法について相談を受けています。
多くの人やコミュニティーを護ってきた緑が、この街特有のワンパターンな開発手法で無くなろうとしています。

個人的には、もっとこういった身近な緑にも目を向けて欲しいと思います。

木を見て森を見るとは良く言いますが、そこに目を向けずして、どうやって山を守っていくというんでしょう?

 

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