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教訓と「再確認」。

February 7, 2017

 

もう5年くらい前になるかなぁ。

いつも何かと気を遣ってくれたとあるNPOの職員の方が、「障がい者も働けるカフェを、自立支援の一環で兵庫県のとある市でつくる事になったので、手伝ってほしい」という打診を自分ごときにしていただいた事がある。

カフェをつくるのは、とある大きな財団で、自立支援のための総合施設の一部ということらしく、その方は財団の職員も兼務されていた。

 

企画書があるので、と見せてもらったら「ふれあい」「サロン」「おふくろの味」などといった言葉のオンパレード。

うーむ、明らかに素人の発想。

誰が書いたんですか?と聞いたところ、とあるコミュニティーづくり関連の取り組みに、何かしらあちこちで絡んでいる人(よくいるよね、こういう人。名刺にいっぱい属している団体やらプロジェクトやら役職やらが書いてある人)が書いたらしく、予想どおり飲食店経営の経験は無いとのこと。

で、その方も不安に思ったのか、その頃ちょっとだけ流行っていた自分のカフェが参考になると思っていただいたみたいで、声を掛けてくださったのだ。

 

企画書から練り直しましょう、という条件でそのカフェ設立のための準備委員会に招かれることになったんだけど、そのメンバーというのが、その人(初期の企画書を書いた人)と、その人が何処からか連れてきた料理家の女性と、どこぞやの市長をやられた経験があり奥様がお弁当のデリバリーをやっているというおじいさん、という構成。

特に初期の企画書を書いた人なんか、よっぽど自分が企画にチャチャを入れたのが面白くなかったのか、名刺を渡すなり目の前で「こんなもの、こうだ」と言って真っ二つに笑いながら折ったもんね。

いやー、衝撃的だったね。

こんな漫画みたいなことをしやがる輩がいるのかって、今でも鮮明に覚えてるよ。

 

とくにもかくにも、このままじゃダメだと思い、準備委員会の了承を得て(まあ、了承を得るまでが一苦労だったけど)、自分が独自に小委員会なるものを立ち上げたんだよね。

ちゃんとした障がい者の自立支援を事業としてやっている専門家、地産地消やオーガニックに詳しい専門家、作業所さんと連携してカフェを運営している専門家などを集めて。

ほぼ友達だったんだけど、時間が無い事もあって致し方なかったんだけど、メンバー的には相当最強の面々だったと思うし、実際にワクワクする企画内容がどんどん出来上がっていった。

そしてその会の様子も、議事録にまとめて逐一準備委員会のおじさん達に報告してたんだよ、ちゃんとね。

 

プレイベント的なものも企画して、広くカフェ・スタッフを募る目的も持って、障がい者の方々も大勢招いて勉強会なるものも数回開催した。

もちろん、ゲスト講師は小委員会に協力してくれた友達の専門家さんたち。

本当に良いプレイベントだったんだ。

参加してくださった障がい者の方々も「いつ出来るんですか?」「ぜひ働いてみたい!」って言ってくださって。

 

内装や外構のプランニングなどもどんどん詰めて行って、あとはメニュー作りでカフェがオープンできる!と思っていた矢先、まさかのどんでん返し。

そう。

カフェ計画が白紙になっちゃったんだよね。

財団が一方的にそうしたんだけど。

 

理由を聞くと、財団に全くといって良いほど、計画の内容が伝わってなかったみたいで、その役割を担うはずの準備委員会が、財団の事務局と全然連携を取っていなかったんだ。(その準備委員会の事務局的な動きをしていたのが、初期の企画書を書いた例のおじさんだったんだけど)

 

いやー、唖然としたよね。

何やってくれちゃってんの?

ひょっとして、美味しいところだけ持って行こうとしてた?

準備委員会として、何の仕事をあんたはしてきたんだ!!

って、すごい嫌悪感。

そして、これまで経験した事がないレベルの挫折感。

しばらく立ち直れなかったし、今まで協力していただいた皆さんに顔向けできないと思うと辛くて。

なぜそんな事態になってしまったのか?

今でもよく分からないんだけど、ほぼ不可抗力でこうなったんだけど、敢えて言えるなら

 

「お前の仕事は、飲食店じゃないだろ?何してんだよ?」

という、自分に対して天からの忠告だったのかもしれない、と思うようにしてる。

「お前の本業は、ランスケや造園といったデザインの方だろ?」と。

 

あと他の教訓があるとすれば、自分はこういった年齢層(60歳以上?)とは同じ仕事はできない、ってこと。

 

失敗に教訓は付き物なんだけど、それよりか大切にしたいことがあって、それはこんな大きな計画が潰れてしまったにも関わらず、「いいよいいよ。気にしないで。」と言って流してくれた、専門家の友達たち。

こんな素晴らしい仲間が後ろにいたんだと思うと、励まされるよね、本当に。

 

今の自分の人生も仕事も失敗だらけだけど、教訓を得ることと、この「再確認」が出来るようになれば、いつだっって前を向けるもんだよ。

現に、未だにこうやって、自分はハッピーに生きてるからね。

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